震災で発生した海水被り廃木材および海中がれき廃木材の塩素含有量

講演予稿
倉持 秀敏;滝上 英孝; 浅利 美鈴; 酒井 伸一 (2011) 廃棄物資源循環学会研究発表会講演論文集, 22: 159-160

1. はじめに 
東日本大震災で発生したがれきの量は3 県(岩手,宮城,福島)で約2260 万トンと推定され,現在,その40~65%が仮置場に搬入されつつあり1), 搬入された廃棄物の焼却,再生利用等が本格的に進められる時期にある.がれき中の廃木材につい ては,木質ボード,ボイラー燃料,発電等への利用が期待されているが,津波によって海水を被っている場合には,処理の受入側との間で塩素分等の不純物に関する条件について調整が必要になる.残念ながら,海水を被った廃木材の塩素含有量 に関するデータはほとんどないため,早急にその含有量の把握が求められる. また,海中にあるがれきについても引き揚げて処理することも将来的に検討する必要があり,海中がれき廃木材についても塩素含有量の把握が同様に求められる.そこで,我々は,溶出試験により, 海水を被った廃木材に対して廃木材の種類ごとに塩素含有量を明らかにするとともに,簡易測定法の有用性を評価してきた2).しかし,一回の溶出試験だけで評価した値の妥当性について十分検討できていない.そこで,本研究では,すべてのサンプルに対して溶出試験を二回行い,一回目の溶出割合を把握しつつ,廃木材の塩素含有量を決定し直した. また,海中がれき廃木材に対しても溶出試験を行い,海水被りの廃木材との比較を行った.さらに,海中がれき廃木材については,ナトリウムイオン濃度に対する分析を行い,塩素含有量との関係を考察した. 

Keywords:

東日本大震災; がれき処理; 廃木材; 塩素含有量; ナトリウムイオン濃度
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