論文
池松達人; 平井康宏; 酒井伸一 (2012) 廃棄物資源循環学会論文誌, 23(2): 85-99
池松達人; 平井康宏; 酒井伸一 (2012) 廃棄物資源循環学会論文誌, 23(2): 85-99
本稿では,自治体固有の影響や年度固有の影響を考慮したパネルデータ分析 (2001-2007) により,産業廃棄物税 (以下,産廃税) による全産業廃棄物および品目別 (廃プラスチック類,汚泥,がれき類) の課税効果を推定した。特に,産廃税制度設計要因として徴税方法別の課税効果や焼却施設への課税効果について検証した。
この結果,特別徴収方式の産廃税導入により,全産業廃棄物,汚泥,がれき類に対する最終処分量の削減効果,ならびに全産業廃棄物,廃プラスチック類,汚泥に対する中間処理量の増加作用が推定された。また,埋立処分と焼却に対して課税した場合,埋立処分のみに課税した場合に比べて,廃プラスチック類で4割,汚泥で3割の中間処理量の削減効果があるが,がれき類ではその効果は表れないことが確認された。品目別で課税効果に差が見られ,廃棄物処理フローへの影響がそれぞれ異なることが確認された。
Keywords:
産業廃棄物税; 徴税方法; パネルデータ分析; 課税効果; 品目