臭素系難燃剤PBDEと臭素系ダイオキシン類

講演予稿
酒井伸一; 滝上英孝 (2012) 第21回環境化学討論会講演要旨集, pp. 362-363

【はじめに】
ポリ塩素化ダイオキシン類(PCDDs/DFs)の発生、移動、影響に関する総合的な知見が得られ、政策的にも技術的にも一定の制御方策が採られ、日本における発生や存在は大きく低減してきた。ポリ塩素化ダイオキシン類に比べて格段に知見が少ない物質群に有機臭素系のダイオキシン類(PBDDs/DFs)がある。1999 年7 月16 日に公布された「ダイオキシン類対策特別措置法」附則第2 条においては、「政府は臭素系ダイオキシンにつき、人の健康に対する影響の程度、その発生過程等に関する調査研究を推進し、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする」と規定されているが、徐々に臭素系ダイオキシン類に関する科学的知見が蓄積されつつある。また、1990 年代末より、難燃剤成分そのものであるポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)を含む臭素系難燃剤(BFRs)の影響と挙動に強い関心が集まり、その後の十数年で非常に多くの知見が蓄積されてきた。5 臭素化体と8 臭素化体のPBDEsはPOPs 条約の新たな規制物質になったことは周知のとおりである。本報告では、臭素系難燃剤との関係を念頭におきつつも有機臭素系ダイオキシン類に焦点を当て、その物理化学特性と毒性、発生源、制御方法に関する基礎と最近の知見に関して述べる。

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