室内ダストと主要難燃剤のハザード特性比較

講演予稿
鈴木剛; Nguyen Minh Tue; 高橋真; 田辺信介; 酒井伸一; 蒲丸直人; 北村繁幸; 滝上英孝 (2012) 第21回環境化学討論会講演要旨集, pp. 330-331

【はじめに】
本研究グループは、曝露源として重要度が高い室内ダスト中難燃剤(FRs)等の樹脂添加剤の存在や濃度レベルを明らかにし、これらを含有する製品の使用実態や使用時の曝露状況について調査・研究を展開している。室内ダストに着目した研究は、個別の化学物質分析によるアプローチに加え、毒性指標(エンドポイント)に応じて化学物質を包括的に検出し関連する化学物質を検索同定するin vitro バイオアッセイ/化学分析統合手法を用いても展開している。室内ダスト中のダイオキシン類縁化合物を対象とした研究では、残留性有機汚染物質(POPs)として国際的に規制されているダイオキシン類よりも、臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)の不純物/光分解生成物として知られる臭素化ジベンゾフラン(PBDFs)の重要度が影響ベースで高いことを明らかにした1。
 先行研究2 では、製品使用に伴いダストに移行する化学物質をより包括的に評価するため、日本を含む複数国で採取した室内ダストを対象に、先行研究と異なる方法、即ち酸処理等を施さずに得られた粗抽出液のハザード特性を評価している。評価エンドポイントは、REACH 規則(EU の化学品の登録(Registration)・評価(Evaluation)・認可(Authorisation)・制限(Restriction)に関わる規則)でとり上げられている生殖毒性等に着目して、アンドロゲン受容体(AR)、エストロゲン受容体アルファ(ERα)、プロゲステロン受容体(PR)等のアゴニスト及びアンタゴニスト活性とした。得られたデータについてエンドポイントによる類型化を試みたところ、PPARγ2、PR及びARアンタゴニスト、ERα アゴニスト活性は、全ての採取地域のダストで共通に検出される重要なエンドポイントであることがわかった(図1)。
 本研究では、難燃剤のハザード特性を評価するとともに、先行研究で明らかにした室内ダストのハザード特性と比較して、物質同定アプローチに資する優先度の高いハザードの選定を試みた。

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