論文
長田守弘; 真名子一隆; 平井康宏; 酒井伸一 (2012) 廃棄物資源循環学会論文誌, 23(6): 264-278
長田守弘; 真名子一隆; 平井康宏; 酒井伸一 (2012) 廃棄物資源循環学会論文誌, 23(6): 264-278
自動車破砕残渣 (ASR) の資源化・処理方式に関する4つのシナリオ (埋立,焼却+埋立,溶融+埋立,溶融+山元還元) を対象にライフサイクルアセスメント (LCA) を行った。影響領域としては,地球温暖化,酸性化,有害化学物質 (人間毒性),生態毒性,廃棄物 (埋立地消費) を取り上げ,ASRの溶融処理試験結果で得られたインベントリーデータを中心に,LIME (日本版被害算定型環境影響評価手法) の更新版,LIME2が提供する各種評価係数等を活用して評価した。溶融は埋立や焼却に比べて温室効果ガスの排出が多いものの,重金属類等の排出による人間健康影響が少ないことと埋立地を削減できる効果がこれを上回った。さらに生態系への影響 (生物多様性) を考慮すると,その差は大きくなった。溶融の中では,溶融飛灰の山元還元 (資源化) の実施による重金属類の排出抑制効果が,評価に大きく寄与することが示された。
Keywords:
ライフサイクルアセスメント(LCA), 自動車破砕残渣(ASR), 溶融処理, 重金属類, 臭素化難燃剤(BFR)