家庭ごみ3Rによる温室効果ガス削減効果の評価指標の検討

講演予稿
松田 健士; 平井 康宏; 浅利 美鈴; 井伊 亮太; 酒井 伸一 (2014) 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会講演論文集2014, pp. 75-76

1. 背景と目的

 国内の多くの地方公共団体において、「廃棄物処理基本計画」や「循環型社会形成推進基本計画」が定められている。それぞれにおいていくつかの目標指標が定められており、国の循環基本計画と同様に「ごみ処理由来の温室効果ガス(GHG)排出量」や「ごみ発電によるGHG削減量」を指標としている場合も多い。また、京都市など一部の自治体では「リサイクルによるGHG削減量」を指標としており、国でも参考値として第三次循環基本計画の点検時には試算されている1)。このリサイクルの効果をモニタリングする意義として、リサイクルによる再生品の利用により新規製品生産が減少することで、市内外における生産段階のGHG排出も削減される効果を計画の効果の1つとしてモニタリングできる点が挙げられる。これにより、リサイクル量など廃棄物としての「量」だけでなく、ライフサイクルの間接的な影響も含めた「質」を考慮した評価が可能となる。また、地域の他の温室効果ガス削減取組との比較も可能となり、リサイクル取組の成果(アウトカム)が直感的に理解しやすくなることも重要な意義である。
一方、3R取組でより上位に位置付けられる2R(リデュース・リユース)については同様の枠組みでのGHG削減量の指標化は行われておらず、国でもポテンシャルの評価にとどまっている2)。2Rによる環境負荷削減効果が高いことは既存研究でも指摘されており3),4)、2R取組を含めた統合的な指標により取組の「質」を反映した指標化は上記の意義をさらに強化すると考えられる。
そこで本研究では、京都府京都市の家庭ごみを対象に、①家庭ごみの3R取組による温室効果ガス削減量の試算、②廃棄物部門の統合的な温室効果ガス排出量指標の試算を行った。

Keywords:

家庭ごみ; 発生抑制; リサイクル; 温室効果ガス; 目標指標
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