自動車内装部材に含まれる有機リン系難燃剤の分布特性

講演予稿
鈴木 まゆみ; 戸舘 侑孝; 小瀬 知洋; 梶原 夏子; 鈴木 剛; 滝上 英孝; 酒井 伸一; 川田 邦明 (2014) 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会講演論文集2014, pp. 145-146

1.はじめに

 自動車の座席等の内装部材には燃えにくい材料の使用が道路運送車両法で規定されており、内装部材には難燃剤が添加されていると考えられる。実際に我々のグループが実施した調査で、一部内装部材においてポリ臭素化ジフェニルエーテル類(PBDEs)のうちDecaBDE製剤、PentaBDE製剤およびヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)製剤の使用が確認された。POPs条約対象の臭素化難燃剤(BFRs)であるPBDEs、HBCDsの使用廃止に伴い、有機リン系難燃剤(PFRs)による代替も予想されるが、一部のPFRsが車内ダストに含まれることが報告されているものの、その自動車内装部材における使用実態や、内装部材のうち主にシートウレタンに使用される含ハロゲン縮合リン酸エステル類の使用実態も明らかではない。
 また2002年7月に「使用済み自動車の再資源化等に関する法律」が制定され、エアバック、フロン、自動車シュレッダーダスト(ASR)を中心に使用済み自動車(ELV)のリサイクルが積極的に推進されてきた。その結果、主に埋立処分されていたASRのリサイクル率が大きく向上し、2012年度にはELV全体におけるリサイクル率は99 wt.%に達している。一方でこれらASRリサイクルの一部用途で布地やウレタン破砕物を圧縮成形した内装用防音防振材への再生利用が行われているが、これに伴う再生製品への難燃剤の移行実態も明らかではない。
 以上のことから本研究では、自動車内装部材中における含ハロゲン縮合リン酸エステル類を含むPFRsの使用実態を明らかにし、ASRリサイクルによる製品への移行を調査するために、乗用部分に面する内装部材を採取し、PFRsの使用実態に関する調査を行った。加えてASR再生原料を素材とする部材中のPFRsについても調査を行った。

Keywords:

有機リン系難燃剤; 自動車内装材; 自動車破砕残渣; 廃自動車
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