ベトナムの使用済み自動車解体処理地域における化学物質汚染(第三報)-ダスト中ダイ オキシン様活性物質に関する毒性同定評価-

講演予稿
高橋 真; 高柳 知佳; Nguyen Minh Tue; 鈴木 剛; Pham Hung Viet; 酒井 伸一 (2016) 第25回環境化学討論会要旨集, pp. P-037

【はじめに】

近年、先進国で発生する様々な廃棄物や使用済み物品が再資源化を目的として途上国・新興工業国へ大量に輸出されており、現地におけるそれらの不適切な処理が問題となっている。とくに、電子・電気機器廃棄物(E-waste)や使用済み自動車(ELV)の急増とその不適正処理が、社会的・国際的な関心事項として注目されている1,2)。E-waste やELV は有価金属やプラスチックとともに、重金属類やポリ塩素化ビフェニール類(PCBs)、ポリ臭素化ジフェニルエーテル類(PBDEs)等、多様な有害物質を含んでいる。したがって、その再資源化処理においては有害物質の環境排出やヒト曝露の防止対策が必須となる。しかし、途上国等ではE-waste の野焼きなど不適切な処理が行われており、廃棄物に含有される有害物質の放出に加え、塩素化(PCDD/Fs)・臭素化ダイオキシン類(PBDD/Fs)やミックスハロゲン化ダイオキシン類(PXDD/Fs)などの複雑なダイオキシン類縁化合物(DRCs)の二次生成が指摘されている3,4)。実際、著者らの先行研究では、ベトナム北部のE-waste・ELV 処理地域おいて採取したダスト試料から高濃度のPBDD/Fs 含むDRCs を検出した5-7)。さらに、in vitro バイオアッセイDR-CALUX を用いた研究では、それらのダスト試料から高いダイオキシン様活性を検出するとともに、未知のダイオキシン様活性物質の存在を示唆した5-7)。
本研究では、それらの先行研究においてDR-CALUX により高いダイオキシン様活性が検出されたダスト試料を対象に、硝酸銀シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いたDRCs の分画手法を確立し、ダイオキシン様活性に占める既知および未知(未同定)DRCs の活性寄与を解析するとともに、未同定DRCs の物性等について考察した。

Keywords:

EDIT