再生可能資源の利用原則と廃棄物の発生抑制

一般記事(査読なし)
酒井 伸一  (2016) 廃棄物資源循環学会誌, 27(4): 290-299

【要 旨】 

廃棄物の3Rと資源の有効利用を考えるにあたって,再生可能資源の利用原則と廃棄物の発生抑制を中心に論じた。再生可能資源の利用においては,その利用速度は再生速度を上回ってはならないこと,廃棄物の排出速度は排出先の生態系の自然の同化能力を下回ることが提案されており,極めて重要である。そして,長期的には枯渇性資源の利用を抑制しつつ,再生可能資源が循環する姿を目指すべきである。その際,無駄な廃棄物の発生を抑制したフロー量で社会を維持することを念頭においた社会を設計していかねばならない。廃棄物の発生抑制の重要性はよく認識されているところであるが,最近,その中でも食品廃棄物の発生抑制の話題がよく取りあげられるようになってきた。世界で13億tonの食品廃棄物が発生するとされており,少なくともその数割は抑制が可能であるとの研究報告がなされるところとなってきた。この無駄な食品廃棄物が背負っている温室効果ガス (GHG) 量も大きく,回避可能な食品1tonあたりおよそ1tonのGHG量の削減が期待できる。

Keywords:

再生可能資源; 廃棄物の発生抑制; 食品廃棄物; 食品ロス; 温室効果ガス
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