大気中ポリ塩化ナフタレンの発生源に関する考察

講演予稿
小柴絢一郎; 平井康宏; 酒井伸一 (2021) 環境衛生工学研究, No. 3: 37-39

1.背景および目的

ポリ塩化ナフタレン(以下、「PCN」)は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約によって、生産・使用の廃絶や非意図的放出の削減が国際的に求められている。国内では、1976年までの間に約4000トンが生産され、潤滑油や木材の防腐剤等に使用されてきた。
 すでに生産や使用が禁止されているものの、熱工程による非意図的生成や過去に生産されたPCN製品、ポリ塩化ビフェニル(以下、「PCB」)中の不純物による環境中への排出の可能性が指摘されており、環境省によるモニタリング調査では全国の大気・水・底質中において広く検出されている。
 日本国内での環境中への発生源の寄与に関して、底質中やクロマツ中のPCN濃度および同族体組成、異性体組成を分析することによって推定されてきた。しかし、近年の大気中濃度に影響を与える発生源については、明らかとなっていない部分も多い。
 そこで、本研究では大気中PCN濃度を全同族体、全異性体について測定するとともに、同族体組成や異性体組成を熱工程による排出源やPCN混合製品等と比較することで、近年の大気中PCN濃度に影響を与える発生源について考察することを目的とした。

Keywords:

残留性有機汚染物質; ポリ塩化ナフタレン; 大気中濃度; 発生源; 異性体組成
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