短鎖塩素化パラフィンの国内排出量推定

講演予稿
長野高明; 小柴絢一郎; 平井康宏; 酒井伸一 (2021) 第32回廃棄物資源循環学会研究発表会講演原稿, pp. 407-408

短鎖塩素化パラフィン(以下、「SCCPs」)は、アルカンに塩素を結合させた有機塩素化合物である塩素化パラフィンのうち、炭素数10 から13 の化合物の総称である。2017 年のストックホルム(POPs)条約締約国会議において、POPs条約の付属書A(廃絶)に追加されており、日本国内でも、2018 年に化審法で第一種特定化学物質に指定され、全ての用途について製造・輸入及びその使用が禁止されている。しかし、近年の環境中でもSCCPs は広く検出されており、排出源や排出量の把握は有効な対策の検討に重要である。排出量の世界全体での推定例や国内での推定例は存在するが、いずれも同族体ごとに推定されたものはなく、排出係数は物性値から推定されているため不確実性が高い。本研究では、1950 年から2030 年までの、国内でのSCCPs 排出量を同族体別に推定した。その際、不確実性を考慮し、排出係数を含むパラメータに幅を持たせてモンテカルロ法によって推定した。また、近年の主な排出源と思われる長期使用プロセスからの排出係数を放散速度の実験結果から製品別に計算することで実際の製品からの排出の再現を試みた。

Keywords:

短鎖塩素化パラフィン; 残留性有機汚染物質; 排出量推定; 同族体; 排出係数
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