Kyoto University Environment Preservation Research Center

卒業研究テーマ

 大学の教育研究活動に伴う廃液・排水や廃棄物の管理など、京都大学が事業者として直面する種々の環境管理上の課題解決に取り組むとともに、その知見を国内外の教育研究機関に敷衍し、サステナブルキャンパス実現を促進する研究を行います。

 京都大学は20202月に「京都大学プラスチック対策実施プラン~京大プライド計画~」を策定し、プラスチックの減量や、分別・リサイクル、オフィス家具やOA機器などのリユース、バイオマス素材の積極利用の推進を掲げています。本研究では、この計画を実行に移していくため、まずはプラスチック類の廃棄実態の把握に取り組み、これに応じた発生抑制、分別・リサイクルの計画立案を試みます。工場等の製造工程で発生する工程内プラスチック廃棄物は、同一種類のプラスチックが大量に1か所に発生するのに対し、大学等の事業所で発生する使用済み製品・容器包装由来プラスチックは、多種類の不均質なプラスチックが小量ずつ広い範囲に分散して発生することが特徴と予想されます。この課題に対応するべく、ごみ量センサーなどのIoT機器を活用した収集システムなどの導入可能性を検討します。

 循環型社会を実現するには、人や企業の行動が重要です。人や企業の資源消費・廃棄行動の実態を把握し、その影響要因を抽出することに取り組んでいます。また、要因間の関係を社会行動モデルとして記述し、行政等による施策の効果を評価し、制度設計に活用することを目指しています。

 本年度は、シングルユースのプラスチック素材について、国内の自治体等による既往のごみ組成調査を体系的に収集して、過去の廃棄フローの推移を把握するとともに、直近の動向について、自らごみ組成調査を実施するとともに、ネット調査等による把握を試みます。これらデータをもとに、20207月より全国的に展開されたレジ袋有料化の効果や、近く成立が見込まれるプラスチック新法案の下での規制効果の把握を試みます。特に、自治体によって異なるごみの分別回収区分や、ごみ有料化の対象範囲が、企業の代替素材の利用や、市民の買い物行動・ごみの分別排出行動に、どのような影響を与えるかの解析を試み、効果的な環境政策について検討します。

 循環型社会において、資源の循環とともに、有害物質までもが、意図せずいつまでも循環し続けることは、好ましくありません。新規製品については、代替品への切り替えや、環境放出や人体曝露を抑止した管理下での利用、既存品については、分解処理や隔離・封じ込めによるリスクの低減が求められます。そこで、循環型社会における有害物質の動きを、物質フローモデルや環境動態モデルを用いて表現し、モノのライフサイクルの記述と環境負荷の試算と実測による検証、社会的管理方法の考察等を行っています。

 本年度は、PCBsをはじめとする残留性有機汚染物質(POPs)を対象に、近年の日本国内の環境中ならびに食品に存在するPOPsの発生源の寄与割合を明らかにすることに取り組みます。POPsの発生源として、1)意図的に製造されたPOPs含有製品やそれらの廃棄物からの揮発や漏洩、2)過去に排出されたPOPsの環境内での再循環、3)セメント製造や廃棄物焼却などからの非意図的な生成、4)国外からの移流を候補とし、個々の排出量の積み上げによる推定や、各発生源に特徴的な同族体・異性体プロフィールと環境モニタリングデータとの比較・回帰分析による推定、時系列データの統計分析などにより、それぞれの寄与を明らかにすることを試みます。

 循環型社会の形成は、脱炭素社会の構築と協調して進めていくことが重要です。廃棄物・重循環分野における温室効果ガス排出インベントリの精緻化に向けて、各種廃棄物の排出係数を推定するとともに、種々の循環施策による温室効果ガスの排出削減効果をライフサイク分析の手法を用いて評価しています。

 本年度は、地域で発生する廃食用油を原料とした生分解性プラスチックや食品廃棄物等の廃棄物系バイオマスを利活用した地域資源循環システムについて検討し、ライフサイクルアセスメント(LCA)を用いて環境負荷削減効果を定量化します。