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循環型社会において、資源の循環とともに、有害物質までもが意図せず循環し続けることは好ましくありません。中でも、残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants : POPs)は、残留性・難分解性・有害性・長距離移動性の特徴を有することから、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)などによって国内外で生産や使用の規制対象となってきました。当研究室では、POPsのフローモデルや環境動態モデルを用いて、環境負荷の試算と実測による検証、社会的管理方法の考察等を行っています。
代表的なPOPsの1つとしてポリ塩化ビフェニル(PCB)があります。PCBは、電子機器用絶縁油や感圧紙などに幅広く使用されてきた一方で、2003年からPOPs条約で規制対象となり、生産・使用の禁止やPCB含有製品の適正処分が求められています。当研究室では、以下のようなフロー図を基にした環境中へのPCB排出量および環境中濃度の推定を通じて、発生源の把握を目指してきました。解析の結果、残存する製品由来の揮発や漏出などの影響に加え、セメント産業などの熱工程におけるPCBの非意図的な生成が発生源の中心になることが推定されました。また、これらの発生源に関する解析結果を基に、環境負荷抑制を目指した対策の検討も行っています。

図 PCBのフロー

図 PCB排出量推定結果
また、PCBのみならず新たに規制対象として注目されているPOPsに関する研究も行っています。特に新規の物質に関しては、生産量や用途に関する基本情報が十分に得られないケースもありますが、地道なデータ整理や情報が不足する中での解析手法の確立などを通じて、発生源の把握や排出抑制策の評価を目指しています。