今回の被災地域5県で津波廃棄物発生量は合計2,673万トンと推計。平山修久 京都大学准教授による。
京都大学 平山修久 2011/03/30
- 推定方法について
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住家被害より,全壊時の発生量原単位(阪神・淡路大震災61.9トン/世帯,113トン/棟)を用いて推定した.
- 東北地方太平洋沖地震津波の再現計算による詳細浸水図(暫定値)(海岸工学委員会,村嶋(国際航業),柳澤(東電設計))を用いて,1kmメートルの地域メッシュ上で津波浸水エリアを同定した.
- 津波浸水エリア内の世帯数(平成17年度国勢調査地域メッシュ統計)より,1kmメートルの地域メッシュ別に津波被災世帯数を推定した.
- 津波浸水エリア内の世帯は全壊とみなし,発生量原単位(非公共・公共を含む)を用いて津波廃棄物(海ごみ)発生量を算出した.
- 算定結果
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今回の被災地域5県で合計2,673万トンと推計された.県別では,青森県8万トン,岩手県550万トン,宮城県1,429万トン,福島県229万トン,茨城県457万トンとなった.
- 推定条件について
- 建物による被災のみを取り扱っていることから,農地や山林(松林)による木質系ごみ,港湾地域より発生する船舶等のがれき,被災地域に堆積しているヘドロ,汚泥、土砂については考慮することができていない.したがって,今回の推定結果より大きくなることが考えられる.
- 今回の推定結果は,津波被災地域からの発生量の推定であり,陸地に残存した量を示すものではない.
- 津波高さ,津波浸水深については考慮していない.つまり,津波浸水深によっては,大規模半壊や床上浸水の被害区分となり,これらの被災世帯では世帯当たりの災害廃棄物発生量が小さくなるため,推定結果が小さくなることが考えられる.
- 今回の推定では,津波浸水による被災のみを扱っていることから,地震動による家屋被災で発生する震災廃棄物(山ごみ)は考慮されていない.
- 共同住宅以外に居住する割合(神戸市:39.8%,西宮市:37.7%,青森県:80.6%,岩手県:79.2%,宮城県:63.4%,仙台市:43.6%,福島県:76.4%,茨城県:77.2%)を考慮し,世帯当たりの原単位として113トン/世帯を用いた.